5/4 琉球ガラス工房のマーケティング戦略 [経営]
今日は読谷村の琉球ガラス工房めぐり。この地区へ来るたびに、工房は一様にマーケティングが下手だと感じる。せっかくよいものを作っているのに、細々と直販する以外は販路が那覇の国際通りにあるおみやげ屋に限られているため、きっと大きなマージンやキックバックを要求され、かつ、国際通りにやってくる観光客以上に顧客が増えない構造になっている雰囲気なのだ。したがって、工房の収支もトントンがいいところで、工房の近代化もなかなか図れないという悪循環。市場に出回っている多くの琉球ガラスは、いくつかの大規模工場で大量生産されている質の劣るものであるが、販売価格がそんなに変わらないことが状況を悪くしている。まさに「悪貨は良貨を駆逐する」である。
では、どうしたらよいのか。潜在顧客層を増やす作業と、販路を拡大する作業の2つの作業が必要だと思われるが、まず潜在顧客層を増やすためには、東京、大阪などの大都市部において、質のよい琉球ガラスの知名度を高めるための工夫が必要である。質のよい琉球ガラスのよさは、実際に手にとってみて初めて分かるので、安直だが、高島屋などの大手デパートと提携し、質のよい琉球ガラスと、そうでない琉球ガラスを並べて置いてもらうのが手っ取り早いはずである。差別化を図るため、ある程度の強気のプライシングをしても問題はないはずだ。なお、ブランド価値を維持するためには、イオンやイトーヨーカドーなどの大型SCは避けた方がよい。
大手デパートと提携することで、販路もある程度は拡大するが、マージンの問題があるので、インターネットを通じた直販も検討すべきである。やはりアクセス数が抜群に多いヤフーか楽天ということになるのだろうが、インターネット経由であれば地勢的な不利も挽回できる。サイトには、単に商品の写真を並べるだけでなく、琉球ガラスの歴史や製造工程の解説や、質のよい琉球ガラスとそうでない琉球ガラスの違いなどを併せて掲載し、商品を実際に手に取ることができないデメリットをできるだけ和らげる工夫が必要である。
工房の方にマーケティングを考える人材がいないとしても、どうして小売りの方が食指を伸ばさないのか不思議なのだが、琉球ガラスの魅力に気づいている小売りのプロがまだ世の中にあまり存在していないということなのだろうか。
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