5/10 異端の大義 [本]
最近の新刊の小説は、上下巻に分かれている長編物が多いと思うのだが、気のせいだろうか。そんな小説の一つである楡周平の「異端の大義」を読んだ。とある同族経営の会社で働き、外様ながらエリートコースに乗っていた主人公が、ふとしたことで血族の一人である同期の不興を買い、困難なポストを次々と回され、辞職へ追い込まれるというストーリー。何か高杉良チックな話の展開である。何となく展開が予想できるため、ハラハラ感がなく、ダラダラと話が続く感じ。しかも、主人公がシカゴ大のMBAホルダーという設定なのだが、どうもMBAという学位が小説の中で過大に評価されおり、主人公の具体的な能力や特性の描写がないまま、それを武器に華麗に立ち回っている点が胡散臭く、残念ながら小説の中身を薄っぺらくしてしまっている。文庫ならまだ我慢できるが、ハードカバー2冊だとコストパフォーマンスが悪いと感じてしまった。良作も多い楡周平の中ではハズレの部類の作品だと思う。
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