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12/9 空飛ぶタイヤ [本]

これは面白かった。この間読んだ「ザ・リコール」と同様にリコール隠し問題を題材とした小説で、三菱自動車の事件をモデルとしているようだ。中堅の運送会社の保有するトラックのタイヤが走行中に突然外れ、そのタイヤが飛んで、運悪く歩行者に当たり死なせてしまったことが物語の発端。トラックの整備不良を主張する財閥系自動車会社と、主人公である運送会社の社長との間の闘いを詳細に描写しているのだが、警察を含め世間が味方するのは当然ながら自動車会社の方で、誰にも信じてもらえない絶望感に何度も苛まれながら自動車会社のリコール隠しの証拠を探す主人公がかわいそうで、つい感情移入をして読んでしまう。この作品が「ザ・リコール」よりも優れているのは、単に自動車事故の責任問題の帰趨にとどまらず、主人公の日常生活への影響、自動車会社の社内政治やそれぞれのメインバンクとの関係などについても本筋とシンクロさせながらきちんと描写し、小説としての厚みを何重にも増している点だろう。経済小説が好きな人にはぜひお薦めである。

空飛ぶタイヤ

空飛ぶタイヤ

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2006/09/15
  • メディア: 単行本


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