SSブログ

1/18 観想力 [本]

元アクセンチュアのパートナーによる、物事の考え方についてのトレーニング本?である。「観想力」というタイトルだが、「観」察する力と「想」像する力が相まって初めて物事の本質が理解でき、ブレイクスルーが生まれるという趣旨だろうか。この本の中で一貫して著者が述べているのは、常識を疑い、物事を複数の視点から眺めて分析することの大切さ。切々とその大切さを訴えるのではなく、色々な問題を出しながらそれを読者に体感させるアプローチである。最初のつかみの部分で「空気はなぜ透明なのか?」という設問があり、さっそく考えさせられるほか、本全体を通じて様々な設問があり、分量がコンパクトであるにもかかわらず、なかなか読み進めることができない。物事を深く考える機会が減る中、その考えるきっかけを与えてくれること自体に大きな価値のある本だが、さらに自分の知らなかった知識も新たに得ることができ、一石二鳥だった。大学生から社会人まで誰が読んでも目から鱗の良書である。

観想力 空気はなぜ透明か

観想力 空気はなぜ透明か

  • 作者: 三谷 宏治
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2006/10/20
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

1/16 ハーバードMBA留学記 [本]

日経BPから出版されている「ハーバードMBA留学記」を読んだ。著者がハーバードに留学していたときのブログの記述を加筆・編集して一冊の本にしたもの。単なるハーバードやMBAのカリキュラム紹介に終わらず、留学中に著者がいったい何を考え何をしたのかという部分が具体的に書かれており、特にMBA留学予備軍の人たちにとっては、通常の留学情報誌ではうかがい知ることができない一学生の喜びと悩みを知ることを通じてトップスクールのMBAプログラムというものの実感を得ることができるのではないか。全体的に著者の強烈なプライドを感じ、また主義主張で相容れない部分もあるものの、嫌みな感じはほとんどなく、むしろ若者らしい希望と夢にあふれたタッチで好感が持てる。このような素晴らしいキャリアを持つ人が拝金主義に走らず、日本という国を愛し憂えているのは大きな救いである。

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

  • 作者: 岩瀬 大輔
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2006/11/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

1/12 使命と魂のリミット [本]

東野圭吾の新刊「使命と魂のリミット」を読んだ。ハズレのない作家であるが、この本も引き込まれてしまい、一気に読んでしまった。医者の倫理観が今回の大きなテーマで、自分の子供を間接的に事故死へ追い込んだ人間が患者となり、死亡するリスクもある困難な心臓手術を行うこととなった場合、医者は自分の使命を全うして患者を救うことができるのか、それとも手術の困難さに紛れて未必の故意にしろ患者を死なせたい誘惑に駆られるのかということを主人公であるインターンの女医が全編を通じて探っていく。導入部分でバラバラだったいくつかの伏線がクライマックスへ向けて一本の線に融合していくのは、本当に鮮やかな描写である。

使命と魂のリミット

使命と魂のリミット

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/12/06
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

1/8 ねばちっこい経営 [本]

コンサルタントの遠藤さんのベストセラー「現場力を鍛える」「見える化」に続く三部作の最終作である。今回は、組織改革にはねばちっこい努力が必要ということに焦点を当てており、これまでの著作で焦点が当てられた現場とのコミュニケーション、状況の見える化に加えた改革三点セットということだろう。改革努力を1回こっきりでなく、継続的にやっていくというのは著者も認めるとおり当たり前のことであるものの、実際に継続できている組織はほんの一握りである現状を踏まえ、なぜ継続できないのかということをトヨタ、キャノン、花王などの優良事例を引用しつつ掘り下げて分析している。著者の分析によれば、改革を継続できる組織的な風土とシステムを構築するというマクロ的なアプローチと、ねばちっこい資質を有する人を採用し育てるというミクロ的なアプローチの両方が必要とのことだが、いずれも一朝一夕にできるものではなく、それこそ体制づくりのためのねばっちこさがまず必要だと思う。「現場力を鍛える」ほどのインパクトはなかったものの、色々と考えさせられながら読んだ。自分が属する組織でなぜ改革が進まないのだろうかと問題意識を持っている人にお薦めの本。

ねばちっこい経営 粘り強い「人と組織」をつくる技術

ねばちっこい経営 粘り強い「人と組織」をつくる技術

  • 作者: 遠藤 功
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2006/12/15
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

1/7 腐蝕生保 [本]

正月休みの間、たくさん本を買い込んで読んでいるが、その中の一冊(上下巻で二冊か)が高杉良の「腐蝕生保」。日本生命をモデルとしており、内部者を味方に付けて綿密に取材を行っていることもよく分かる。相互会社であるためにこれまであまりその実態が世間に明らかとされてこなかった生保の経営のひどさを深くえぐっており、この点は評価。ただ、これは高杉良の小説に共通して言えることなのだが、夫が浮気は当然の猛烈サラリーマンで妻が貞淑な専業主婦という古典的な家族像を前提としているところ、そして意図的になのか社内の権力闘争を膨らまして書きすぎているところが薄っぺらく感じてしまい、ちょっと描写に嫌悪感を持ちながら読み進める感じ。せっかくよい取材をしているのにもったいない。また、この小説、エンディングが中途半端なのだが、続編を前提としているからなのだろうか。ちょっと読了後の後味が悪かった。

腐蝕生保(上巻)

腐蝕生保(上巻)

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/11/14
  • メディア: 単行本


腐蝕生保(下巻)

腐蝕生保(下巻)

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/11/14
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

12/28 不正侵入 [本]

年末年始に読む本を大量にアマゾンで買い込んだが、その第一弾、笹本稜平の「不正侵入」を読んだ。同じ著者の「ビッグブラザーを撃て!」と同系統の作品で、体制内部まで巣喰っている巨悪と、それにコンピュータ技術を駆使して立ち向かう正義感を持った一人の警察官と仲間たちという構図。前半で作っている数々の伏線を後半で生かし切れておらず、前半の期待感が、「え、こんなもの?」と後半で裏切られてしまう印象。もちろん、それなりに面白いので、文庫化されたら買いというスタンスでいいのではないだろうか。

不正侵入

不正侵入

  • 作者: 笹本 稜平
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/11/21
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

12/22 中原の虹 [本]

話題作である浅田次郎の「中原の虹」の第一巻、第二巻を読んだ。名著「蒼穹の昴」、ちょっとずっこけたかなという続編「珍妃の井戸」に続く、清朝末期の中国の混乱を描く長編歴史小説である。今回は、西太后の老化に伴う皇帝の権威の低下、日本をはじめとする諸外国による干渉の激化、華北地域における馬賊の勃興などをそれぞれの立場の視点からバランスよく描写しており、没頭して読んでしまう。ただ、登場人物が重なり、前著からのストーリーの流れがあるため、「蒼穹の昴」などを読了せずにいきなりこの「中原の虹」を読むのはお薦めではない。また、これは自分で失敗したなと思ったのだが、12月末現在でまだ第三巻、第四巻の発売予定が明確になっておらず、「いったいこの後どうなるのだろうか?」と日々悶々とさせられている状態である。4巻を通読して意味のあるものなので、あわてずに、全巻が発売されてから通しで読んだ方がよい。それにしても、いったいいつ発売になるのだろうか。

中原の虹 第一巻

中原の虹 第一巻

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/09/26
  • メディア: 単行本


中原の虹 第二巻

中原の虹 第二巻

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/11/02
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

12/21 戦略パワー・プロフェッショナル [本]

マッキンゼー出身のコンサルタントである斎藤さんが書いた「戦略パワー・プロフェッショナル」を読んだ。コンサルタント、企業の経営戦略部門の人だけでなく、社会人一般が仕事に臨む上での常識として読んでおいた方がよい内容を分かりやすく記述している。問題解決をするには4つの力、すなわち、
(1)フレーム力
問題となる領域の範囲を的確に切り取る判断力
(2)コンセプト力
新たな価値を生み出すための原点を構想し、展開すべき方向性を示す力
(3)ロジック力
モノゴトの因果律を見抜く推察力と、ストーリーの筋書きを作る創造力
(4)ポジショニング力
相対的に優位な状況を構想し、その位置づけを受け手に認知させる力

が必要だとしており、それぞれの「力」について具体例を用いながら解説している。本書の中で何回か強調されているのは、(1)それぞれの力を養うことは大事なのだが、より大事なのは、それぞれの力を有機的に結合させ柔軟に使える能力を養うこと、そして、(2)これらの力を養うのは問題解決に向けて解決策を実践するためであり、机上の空論を行うためではないということを常に認識すべきということである。解決策を実践するためには、利害関係者にその解決策を売り込むコミュニケーション力が必要だと考えるが、本書ではあえて解決策の提示までをスコープに入れて分析、解説している。コンサルタントが書くこの手の本が最近多いが、その中でも上位に位置づけられるのではないか。

戦略パワー・プロフェッショナル

戦略パワー・プロフェッショナル

  • 作者: 齋藤 嘉則
  • 出版社/メーカー: ファーストプレス
  • 発売日: 2005/09/08
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

12/19 マネーロンダリング入門 [本]

最近、色々な出版社が新書を発刊するようになったが、幻冬舎も幻冬舎新書の発刊を始めた。その第一弾のグループに入っているのが本書で、著者である橘玲さんが僕の好きな作家の一人であることに加え、マネックスの松本大さんが「面白そうだから買った」旨メルマガで述べていたのでさっそく買ってみた。「あなたにもできる」というのが帯にあるキャッチフレーズだが、金融素人の人間が読んでみて、たしかに「へぇ、こんなに簡単にできるものなんだ」という印象を持った。

特に新鮮だったのが、世界のドル取引がどのように行われているかというくだり。「コレスポンデント銀行」と「コルレス口座」という概念があるらしいのだが、日本では三菱東京UFJ銀行が代表的なコレスポンデント銀行、アメリカではシティバンクなどが代表的なコレスポンデント銀行らしい。たとえば僕が三井住友銀行でドル預金をした場合、東京の三菱東京UFJ銀行にある三井住友銀行のコルレス口座からシティバンクのコルレス口座に円が振り替えられ、同時に、ニューヨークにあるシティバンクのコルレス口座から三井住友銀行のコルレス口座にドル預金した分のドルが振り替えれる仕組みになっているらしく、すなわち、実態として円紙幣は東京の三菱東京UFJ銀行から動かないし、ドル紙幣もニューヨークのシティバンクから動かないとのこと。したがって、アメリカがマカオにある銀行の北朝鮮のドル預金口座を凍結すると言えば、中国の意向など関係なく、簡単に凍結できてしまうのは、裏にこのようなからくりがあるとのことなのである。いい勉強になった。

マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで

マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで

  • 作者: 橘 玲
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 新書


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(2) 
共通テーマ:

12/13 下流喰い [本]

消費者金融問題に焦点を当てた新書である。消費者金融側のあこぎな商売のやり方、借り手である多重債務者側の悲劇の両面から、徹底的に消費者金融を糾弾している。取材がやや杜撰な点と、主張が一方的すぎる点が若干不満。消費者金融の問題というのは、貸し手側の問題なのか、借り手側の問題なのか、個人的にはずっと、金銭感覚がルーズな借り手側の責任が大きいと考えていたが、この本を読んで、貸し手側の過剰な宣伝と強引な追い貸しも問題といえば問題なのかなと考えを改めた。ただ、アイフルの事件のように借り手の無知につけ込んで利息をごまかしたり、違法な取り立てをするのは言語道断だが、消費者金融の存在自体まで否定するのは行きすぎではないかとも思う。イメージは悪くとも、消費者金融にも法の認容する範囲内において営業する自由はあるのであり、契約手続の適正化と契約内容の明確化さえしっかり行えば、それを利用するかしないかの判断と責任は借り手側にある。過度の規制は、それを監視監督する行政と、ヤミ金融の世界の肥大化を招くだけなのではないか。

下流喰い―消費者金融の実態

下流喰い―消費者金融の実態

  • 作者: 須田 慎一郎
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 新書


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。