11/23 「昭和」という国家 [本]
予定の入っていない1日で、久々に家でゆっくりすることができた。その間、司馬遼太郎の「「昭和」という国家」を読んだ。以前読んだ「「明治」という国家」の続編的な感じで、特に昭和20年までの日本の異常な時期に焦点を当てて、どうして戦争に向かって暴走してしまったのかということを論じている。司馬氏は、「統帥権」という得体の知れない権限が軍部によっていつのまにか捏造されたこと、日露戦争でやっとロシアに勝利したにもかかわらず、その真実を伝える者がおらず国民全体が変な自信を持ってしまったことなどを原因として挙げており、ヒットラーのような独裁者がいたドイツとは異なり、日本を戦争に向かわせた責任者を見つけるのはなかなか難しい旨述べている。さらに、明治憲法は、当時とすれば極めて先進的な憲法であり、その憲法がきちんと運用されているうちはよかったが、昭和に入って、亡国の政治家・官僚によってねじ曲げられてしまったとも述べている。今も憲法改正論議が活発化しているが、大事なのは形ではなくてその解釈者の行動ということなのだろう。そういう意味で、改正せずに日本の硬性憲法を守っていくべきという主張にも一定の理解を示すことができるのではないか。
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