2/18 覇権の標的 [本]
半導体に関する新技術を発見した主人公が、その新技術の開発に熱心でない会社を飛び出し、シリコンバレーにベンチャー企業を立ち上げる物語。順調に進めばよいのだが、その新技術があまりにも革新的なものであり、既存技術で十分な利益を得ている人たちの既得権を害するため、色々な妨害工作にぶつかってしまう。いつの間にか、巨大コンピュータメーカーと石油メジャーの覇権争いに巻き込まれていく。前半は文系人間にとっては何やら小難しい技術的な話もあり、読み進めることに対してちょっと不安感を持つが、そこを我慢して読みこなせば、あとは一転、読みやすい冒険小説的な風合いになる。一連のドタバタを通じて、いつの間にか主人公が日本企業の一技術社員から立派なベンチャー企業社長に成長しているところが爽快である。前半の丁寧な記述に比べて、後半の覇権争いの記述が大雑把になっている点が残念だが、水準以上の作品に仕上がっていると思う。
コメント 0