3/4 失敗の本質 [本]
朝10時過ぎの新幹線で東京に帰還。土曜日の午前中に上京する人間なんてそんないないだろうと見くびっていたら、何と満席に近い乗車状況。乗客層はいったいどういう構成になっているのか興味のあるところ。見たところ、おじさんが多かった。
今回の新幹線往復で「失敗の本質」という本を読んだ。旧日本軍がどうして第二次大戦で負けたのか、ターニングポイントとなったミッドウェー、ガダルカナルなどいくつかの代表的な戦いのケーススタディを通じてその理由と教訓を導こうとしている。共著の本にありがちな問題として、文体が変わってそれぞれの章が読みにくいという難点はあるものの、中身はなかなか詰まっている。ケーススタディを通じて、(1)自らの価値観への傾倒と過信、(2)論理性の不足を補うための精神論への依存、(3)対外的な情報収集能力のなさ、(4)組織の硬直化、(5)組織内のコミュニケーション不足など、現在の官僚組織にも通ずるような問題点を明らかにしている。一番なるほどと思ったのが、米軍と日本軍の比較で、日本軍には遊びがなかったという指摘。すべてが順調に進むことを前提に、余裕のないスケジュールと兵站で作戦を組み立てるといった物理的な余裕のなさだけでなく、戦時中にテニスを楽しむなど米軍の持つ精神的な余裕のなさの両方を指しているのだが、これも現代の日本人に通ずるところである。国民性と片づけてしまえば元も子もないが、何とかならないものだろうか。
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