10/23 行動経済学 [本]
なかなかのロングセラーとなっているらしいのだが、「行動経済学」という新書を読んだ。標準的な経済学の世界というのは、すべての情報を入手でき、それに基づいて合理的な判断・行動を取る人間を前提として組み立てられているいわばフィクションの世界であり、経済学者たちはそのような純粋状態をモデルとして経済の仕組みを分析することに意義を見出しているわけだが、一方で、「そのような前提はまったく現実的でない」といった批判も根強くある。行動経済学は、そのような批判に応え、むしろ個々の人間が合理的な判断・行動を取らないということを前提に、どうして合理的な判断・行動を取らないのかを分析し、経済の仕組みを理解しようとするアプローチである。本書は、その入門書と言ってよい存在で、人間の先入観、錯覚、リスク性向などに始まり、精神学的な脳の構造と働きに至るまで幅広い行動経済学上の理論をカバーし、分かりやすく解説してくれている。この本を単独で読んでもそれなりに面白いと思うが、標準的な経済理論を一通り勉強した人が読むと、対比が明確になり、経済に対する理解(困惑?)がより深まること間違いなしである。
2006-10-23 08:33
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