2/23 インテリジェンス 武器なき戦争 [本]
元NHKワシントン支局長の手嶋龍一さんと、鈴木宗男事件で外務省のラスプーチンと呼ばれた佐藤優さんのインテリジェンスに関する対談集である。お二方が力説するのが、インフォメーションとインテリジェンスの違い。情報を精査し、裏を取り、周到な分析を加えることで、ようやくインテリジェンスへと昇華し、国家の舵取りをする際の重要な判断材料となり得るのだという。インテリジェンス予備軍自体は8割以上が新聞などの公表情報であるというのにはびっくりだが、要は情報の洪水の中から価値のあるものを一瞬にして嗅ぎ分け、それらをつないで裏にあるストーリーを発見することができる鋭い嗅覚の持ち主がインテリジェンス・オフィサーということになるのだろう。外交の場面に限らず、どの世界でも情報というのは扱う人によって毒にも薬にもなるが、天性の有無に関わらず一定レベルまでは教育によって底上げができるはずであり、お二方が主張するように日本にもきちんとしたインテリジェンス・オフィサーの養成機関とキャリアパスを設けることの重要性について首肯せざるを得なかった。一般人にはなかなかなじみのない世界を勉強することができる良書である。
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