5/20 ウルトラ・ダラー [本]
NHKのワシントン支局長という出世コースのポストにいながら、突然辞職して話題となった手嶋龍一氏が小説を書いたというので読んでみた。北朝鮮による日本人拉致とドル紙幣の偽造、それに対するアメリカ、日本、中国の対応など地球儀全体を飛び回る、スケールの大きな話である。また、パーツパーツは、さすがジャーナリスト出身者だけあり、リアリティあふれる繊細な描写となっており、帯に書いてあったとおり、「これを小説と主張するのは著者だけである」というのもまんざら嘘ではない。一方で、パーツを結ぶ部分の描写、人間関係の描写が未熟で、かなり強引な展開をしている部分が残念。このあたり、もっと丁寧な書き方をしてくれるのであれば、次作は期待できるかもしれない。
コメント 0