6/9 使う力 [本]
ボストンコンサルティンググループの日本代表である御立氏が書いた「使う力」という新書を読んだ。思想としては、知識や技術は持っているだけでは宝の持ち腐れで、きちんと使って初めて意味のあるものとなるということなのだが、まったくそれは同感である。ただ単に「使う力」と言ってもかなり抽象的で、筆者は、これを企画力と人間力に分けて解説している。企画力とは、必要な情報を収集し、分析して意思決定する力であり、人間力とは人と組織を動かして結果を出していく力である。その両輪が揃って初めて「使う力」が備わっている状態ということなのだが、前者はどちらかというと今はやりのロジカルシンキングが求められる世界、後者はどちらかというと「国家の品格」的な教養やカリスマ性、対話力が生きてくる世界というイメージだろうか。企画力は、一定の訓練さえ積めば誰もが身につけることのできる能力であると思われるが、人間力は、それを高めるためにはより広範な種類の訓練、究極的に言えば、自分全体の底上げが必要だと思われる。筆者は、そのような人間力の中でも訓練で比較的簡単にマニュアル的に習得できる技能として、自分の伝えたいメッセージを効果的に伝える方法と、対話の主導権の握り方について述べているが、どうもこの部分は付け焼き刃的な印象を持ってしまった。まあ、「使う力」について書く以上は何らかの記述が必要ということで、致し方ないのかもしれない。
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