6/10 制服捜査 [本]
佐々木譲の警察小説である。筆者は、かつて「ベルリン飛行指令」「「エトロフ発緊急電」「ワシントン封印工作」など、史実をベースとしたわりとスケールの大きな良質の小説を書いていたが、最近はドメスティックな方向に転向しているようである。警察小説というと、どうしても横山秀夫と比較してしまうが、この「制服捜査」も、どうも横山秀夫の二番煎じに見えてしまって仕方ない。札幌の大都会から道内辺境地の駐在所勤務となった主人公を巡って、様々な事件を織り交ぜ、短編仕立てにしている。犯人捜しのミステリーというよりは、それこそ横山秀夫が得意とする人間ドラマを中心に描写しており、先入観なく読めばそれなりに面白いと思われるが、筆者にはやはりかつてのように、自分のグラウンドで戦ってほしいもの。
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