12/12 司法改革 [本]
リーガル小説家である姉小路祐の文庫。急進的な司法改革を志向する新進のジャーナリストと、換骨奪胎して既得権の維持を目論む裁判官集団の一派の暗闘を描くミステリーである。ただ、この小説の真のテーマは犯人捜しにあるのではなく、裁判員制度の導入を近い未来に控え、その意義と問題点を世に問おうとしている点にある。残念ながら物語の展開が安直すぎる気はするが、あまりマスコミに注目されない司法制度改革がいったい何なのかということを分かりやすく説明しようとしている点は評価できる。それにしても、裁判所というのは、一般人にとって縁のない世界で、どこか怖いという印象があるが、もう少し敷居を低くするような法曹関係者の取り組みと自身の意識改革があってもよい。
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